メカニカルインジェクション、面白そう
キャブレターの事をいろいろ書いてきたこのブログですが
インジェクションの車がキャブレターよりも優秀なのは知っています。
現在ではキャブレターの車が市場に現れることはほぼと言うか、絶対にないでしょう。
そんなことはどうでも良いとして
今回は初期のインジェクション
メカニカルインジェクションと言う物についてです。
またの名を機械式インジェクションと言います。
現在のインジェクションは電子制御式インジェクションと言う名前です。
ガソリンエンジンの機械式インジェクションの始まりは
第二次世界大戦の途中、ドイツのダイムラー・ベンツ社が作った航空機用のエンジンに採用されたクーゲルフィッシャーの物が始まりで
基本構造はディーゼルエンジンの物とほぼ同じ構造で
ディーゼルエンジンのような気筒内噴射ではなく、ポート噴射に変えた物でした。
当時の日本は、そのエンジンをライセンス生産の目的で輸入しており
日本としてはこのインジェクションのライセンスも欲しかったのですが
ドイツからは断られてしまったため。
ディーゼルエンジンを作っていた三菱に無断でコピー(デッドコピー)させ
実際に局地戦闘機の航空機のエンジンに載せ、それなりに成果を上げたようです。
戦後は1954年にメルセデス・ベンツの300SLのレースモデルが機械式インジェクションを初採用しました。
その後はクーゲルフィッシャーをはじめ、ルーカスやボッシュなどの企業が市販車用の生産を始めました。
機械式インジェクションは、キャブレターのように気候に変動されずにエンジンが回り続ける限り、規定量のガソリンを吹き続けるのがメリットです。
しかし、それが機械式インジェクションの悪い点であり。
エンジンが回り続けていれば、点火を止めても延々とガソリンを吹き付け続けるというのが欠点です。
実際に、世界初採用の300SLでは、ガソリンを吹き続けるがために、エンジンオイルにガソリンが混ざり、エンジンオイルが劣化するため、交換時期が早いという特徴がありました。
さて、この機械式インジェクションが日本に来たのは1969年
キャブレターのイメージが強いハコスカですが、この時代ではワークス参戦も盛んでした。
日産ワークスはその他のメーカーワークスや外車を持ち込むプライベーターに勝利するためにルーカスの機械式インジェクションをワークスカーに採用しました。
そして、50連勝を果たしたわけなので
キャブレターよりもインジェクションの方が早いというのはこの時代からわかっていたことなのではないでしょうか。
しかし、市販車に大々的に普及したのは後年になるので、おそらくですが
機構の複雑さから、庶民が扱える価格かつパワーを簡単に出せる。
と言う点においてはキャブレターが良かったのではと思います。
世界的には、その後にボッシュの機械式インジェクションが市販車でのシェアを伸ばしました。
ポルシェに採用されていたことで有名になったKジェトロニックが有名ですね。
エンジンのポート内に割と高い圧力でポートに持続的な噴射を行い、混合器を作って吸入させるという事をしています。
排ガス規制の影響で噴射量をKジェトロニックに簡易的なコンピュータを追加して制御するKAジェトロニックを作り出しました。
しかし、きめ細やかな噴射量の調整ができないという点においては排ガスに関しては悪いという事で、機械式インジェクションは消えました。
日産はインジェクションにおいては電子制御のLジェトロニックを市販車に採用していました。(トヨタは市販車では割とキャブレターにこだわっていたようです。)
しかし、当時のコンピュータ(4ビット程度が良い所でしょうか?知りませんが)では賄いきれないガソリンの噴射量が必要なエンジンがありました。
それは、レースエンジンです。
市販車のエンジンを利用して出場するという規定があったりしますが
スーパーシルエットなどと呼ばれる魔改造された市販車ベースのレースカーや富士GC(富士スピードウェイグランチャンピオンシリーズ)、F2選手権などに出場するレースカーのいくつかには機械式のインジェクションが採用されていました。
有名なところで言うと、スーパーシルエットのトミカスカイラインでは、機械式インジェクションを採用しているため、ヒールアンドトーをしながら減速すると火柱のようなアフターファイヤが上がります。写真はありませんので適当にググってください。
富士GCでは唯一ロータリーエンジンのインジェクションの採用が年度ごとに規定変更で使用不可能になりました。
4ストロークエンジンを採用していたチームでは、機械式インジェクションを採用しているところもたくさんあったと思います。
ターボに関しては、レースカー用においてはインジェクションを使うのが普通だったと思います。
純正でキャブレターターボを採用している車(ミニカ ダンガン等)は数少なく短命ながら(ミニカ ダンガンの3G83キャブターボは1年のみ)ありますし、SKターボなどのキャブレターへのボルトオンターボなどもありますが
ターボ車でのインジェクションの採用が多かった理由としては
加給圧が上がるにつれて、キャブレターに過大な負圧がかかり、燃料を吸い上げきれずに適正な空燃比を維持するための霧化ができなかったり
負圧による吸熱でキャブが冷えすぎたり
ターボサージング(空気の逆流)などがあり、霧化させた燃料が逆流するといったことが起ったりします。
そのため、市販車では最大加給圧は0.25程度が上限となるようです。
(この加給圧でも当時はすごかったのでしょう。)
それ以上は町乗りを考える市販車ではほぼ不可能なようです。
町乗りで走れば回さなければものの数分程度でスパークプラグがカブるようでは車として機能させることができないため
安定的に燃料を吹き付けることができるインジェクションを国産化することの必要性があったと思います。
よって、1980年代からは、日本メーカーでターボ車の採用と共にインジェクションの採用が広まっていったように思います。
昔のポルシェターボ(930・964)では機械式のKジェトロニックでターボを回しながら、しっかりとガソリンを吹いてあげるという事ができるようになっています。
さて、この記事を書くのに2時間くらいぶっ続けで書いたので
微妙に疲れました。また、内容も見苦しいでしょうが、個人の趣味ですので
校正はしません。寝ます。
それでは