遊び人の雑学

生活にほぼ役に立たない遊び人の雑学

長いコンロッドを短いストロークで回す。

今回はエンジンのシリンダーヘッド以外のもの

腰下と呼ばれるものについてです。

エンジンのシリンダーの中で発生しているピストンの往復運動

それを回転運動にしているクランク機構に関してです。

 

そのエンジンの中で、回転数を上げる。

高回転化をしていこうとなると

ピストン外径、シリンダー内径のみでの観点で見ると

ショートストローク、ビッグボア化が必要なのですが

クランクシャフト、コンロッド、シリンダーの高さの方で考えると

クランクシャフトのクランクアームはシャフトの方に寄せていき

コンロッドは長くする。シリンダーの高さも上げるという。

 

雑に読んでいると「え?」

と思うようになると思いますが

これは、エンジンが回転するときに発生するもの

スラスト(横)方向への力の逃げと言う物が関わっています。

ピストンが上下の往復運動をしている時

それを回転運動にするために、クランク機構があるのですが

そのピストンとクランクシャフトのアームをつないでいる物

であるコネクティングロッドが左右に振れています。

その左右の振れは上下するたびにピストンをシリンダー壁面にこすりつける

スラスト方向への力の逃げと言う物になります。

このスラスト方向に働く力が強いと、最終的には焼き付きにつながります。

 

ただ、高回転を目指していくといって

クランクアームをクランクシャフトの中心に寄せ続けると

エンジンの中で発生するトルクが少なくなります。

トルクは、トルク=力(燃焼圧力)×長さ(クランクアームの長さ)なので

それが少なくなると排気量にもよりますがエンジンとしては

低速のトルクが少なくなってしまうという。

まぁこのクランクシャフトとクランクアームのオフセット距離と言う物は

実用のエンジンとして考えれば、少なくするというのは難しいのですが

F1などの高回転を多用し続けるエンジンでは、そういった物は無視していくという。

 

さて、このクランクの半径とコンロッドの長さを割ったものが

連桿比と言う物になります。

一般の車においては、3.5付近に設定されますが

高回転をメインで動かすスポーツカーでは4

高回転でしか使わないF1では5になります。

この連桿比は、上げていくことでスラスト方向への力が少なくなるので

効率は良くなるのですが

コンロッドが長くなり、エンジンのシリンダーの高さ(デッキ高)が高くなるので

その分の重さが弊害として出てきてしまいます。

フェアレディZV型6気筒、自然吸気のモデルになった際にはエンジンを高回転まで回すために、デッキ高をかさまししたそうな

しかし、その重さや高さを割と気にすることが無い船舶などのエンジンや蒸気機関になると

8~10とものすごく大きくとられています。

 

まぁ難しいことを考えずに

高回転を重視していくと、連桿比は高い物にしていかなくてはいけない

低速トルクに関するものは、混合気の吸入量などによって変わってしまいます。

(私が好きな2UZエンジンはショートストロークですが吸気を絞ることで混合気の流速を上げ、混合気を多く取り込むことで低速でのトルクを稼ぐセッティングに純正でなっています。)

ただ、連桿比を高めたところで

ピストンスピードと言う物がネックになってきたりするんですよね。

ピストンと言う物は、上下方向に動くのですが

死点と下死点で瞬間的に秒速0mに下がることを繰り返しているので

一概に最高速でいう事は難しいのですが

高回転になるにつれて、ピストンの平均スピードは上がります。

ピストンはエンジンの中で最も過酷な場所にある物なのですが

ピストンの平均速度が上がるにつれて物理的に崩壊する速度に達する場合があるんですよね。

普通のエンジンにおいては、秒速24m程度が市販車の限度と言われており

F1においても、秒速30mに行くことはありません。(もしかしたら行っているかも)

 

ただ、このピストンの限界速度と言う物は材質によって変わります。

過去には鋳造もののピストンがあったりしましたが

現在はアルミ合金の鍛造が主流です。

ただ、さらに頑丈かつ良いものとしては鍛造チタン合金が良いとも言われますが

コストの面から難しいと言わざるを得ません。

クランクシャフトに関してはクランクアームの太さによりますが

クランクピンとクランクシャフトの軸部分とのオフセット量が少なくなると

頑丈になりますので、材質に関しては鉄のままでも良いと思います。

 

そして、連桿比を高める。

長いコンロッドを短いストロークで回すと

摩擦損失が少なくなると思います。

スラスト方向への力の逃げは、高回転になるにつれてシリンダーへの強い摩擦損失につながります。

そのため、動力の損失につながります。

なので、耐久性を高め動力損失を少なくしながら高回転まで回す。

そういうエンジンを作ることができれば面白いかなと思います。

過去に2UZエンジンのシリンダーブロックを面研して

高回転の3.6Lのエンジンを作りたいというそういうことを結構前のブログに書いたと思いますが

シリンダーブロックの面研やシリンダーヘッドの改造ではなく

元のシリンダーブロックの高さを利用して

クランクシャフトとコンロッド、ピストンの変更+吸排気管の見直しで

部品の組み換えだけで作れる腰下から回るエンジン

をコンセプトにエンジンを作れたら…と思います。

それでは