気筒内に複雑なメカニズムを押し込む
まぁ複雑な機構というか
これからのエンジンにおいて
高圧縮+高効率を目指していくのであれば
エンジンの気筒内直噴をガンガン進めて行く必要があるのですが
考えていけばいくほど難しいものだなと思うんですよね。
現状では、ペントルーフ型燃焼室やスクエア型燃焼室が良いと言われていますが
複雑にしていけばしていくほど燃焼室の形が崩れていきます。
エンジンのヘッドの機構は
できるだけ部品を軽く、できるだけ簡素な機構が求められます。
プラグ、インジェクターを押し込んで狭くなっているエンジンの気筒内に
さらにいろいろ押し込むとなると、それは難しいと思うんですよね。
そんな難しいという前提がある。という事が分かったところで
現状の気筒内直噴エンジンをベースに
私が押し込みたいものという物を3つほど上げようと思うんですよね。
・水エタノール噴射用インジェクタ
・副燃焼室(プレチャンバー)
この2つなのですが
この2つをヘッドの中に入れ込むというのはなかなか難しいんですよね。
現状の市販車のエンジンは
一部にボア=ストロークのスクエア型のエンジンかの2つしかありません。
そして、気筒内直噴のエンジンの燃焼室には
普通に燃料を噴射するバルブとインジェクタとスパークプラグという先客がいるので
それにどいてもらうという事はできません。
そんなところで解決策と言っては何ですが付けたいものそれぞれに解決方法を考えてみようと思います。
・水エタノール用インジェクタ
水エタノールをエンジンの混合気に混ぜるという考えは
第2次大戦中のドイツが低オクタンガソリンでも高オクタンガソリンで回るエンジンの性能をしっかりと出す方法という事で考案されたものです。
水、もしくはエタノール、水エタノールの混合液をエンジンの混合気に混ぜることで
混合気の温度を冷やし、低オクタンのガソリンで高圧縮のエンジンを回してもノッキングを起こさないという事ができるんですよね。
まぁ水単体でも相当な効果があるらしく、気筒内直噴でなくポート噴射であっても
燃焼効率を50%まで高めることができるらしいので
それを考えるとこれは良いかと思うんですよね。
ただ、現状のままでは難しいので、トヨタD-4Sのように
ポート噴射+気筒内直噴として
ポート噴射用インジェクターからガソリンを、気筒内直噴用インジェクタから水エタノールを噴霧することができれば吸気温度を格段に下げれるんじゃないかと思います。
ただ、完全に近い燃焼を起こすにはしっかりと混合気が混ざっていないといけないので
しっかりとした混合気を作り出すためには微細に噴霧するインジェクタが重要だと思います。
ただ、エタノールには腐食性があるので特殊コーティングが必要になるというのを考えると水単体を利用するのが良いのかもしれません。
・副燃室(プレチャンバー)
現在のF1でも採用されているプレチャンバーは
個人的には良いものだと思うんですよね。
希薄燃焼であっても、しっかりとした点火源があることで燃焼が可能ですし
F1では規定によってインジェクタの複数配置ができないのですが
プレチャンバ専用燃料供給部分と言う物を用いることができれば
さらに確実な点火源として機能させることができるんじゃないかと思います。
しかし、シリンダーヘッドの大型化という物は
エンジンの全長拡大、ボアの拡大、燃焼室の形状の悪化などにつながってしまうため
難しいというのがあります。
ただ、プレチャンバー自体はF1に使用されている物のカット部分を見てみると
相当緻密な冷却水路が通っています。
それを見ると、このインジェクタを付けたプレチャンバーの製作というのは
相当難しいと思います。
ただ、このプレチャンバーをあきらめて
ガスケットに電極を埋め込んだ多点点火を採用すれば
スパークプラグを入れなくても大丈夫なので
スパークプラグ分のスペースを他のインジェクタに使えるので
それを考えると
多点点火+水エタノール噴射で高圧縮でも高効率を叩き出せると思います。
ただ、エンジンの制御が難しくなるのと
現状ではアフターマーケットで気筒内のインジェクタを換装したり
制御を変えるのは難しかったりできないようです。
(チューニングで良く用いられる86(ZN06)のFA20は直噴+ポート噴射のD-4Sを採用していますが、基本的にポート噴射のインジェクタの噴射量の調整、換装が一般的なようです。)
まぁコスト度外視で考えた物なので
見合わないコストで作るエンジンよりも、まだまだ発展すると言われている電気自動車への投資の方が儲かるので
このようなエンジンの研究へ回される資金はこれからどんどん少なくなるかと思います。
まぁ未来がどのように転がるかはわからないという所で終わります。
それでは